あまり知られていない事実ですが日本は、国際労働機関(ILO)の労働時間(商業・事務所)1930年をはじめ、労働者保護のための多くの労働基準条約を批准していないことはあまり知られていません。
もちろん、これは産業界の反対によるものです。
過労死につながる長時間労働が蔓延している背景には、これが日本社会の独特の構造があります。
目次
過労死の原因は3つある
厚生労働省は、「業務による明らかな過重負荷」を過労死の原因として認め、労働災害認定の指針としています。
ここでいう「明らかな業務による過重負荷」とは
異常な出来事
- 極度の緊張、興奮、恐怖、驚愕、その他の精神的緊張をもたらす状況
- 緊急かつ強烈な肉体的負荷を強いる異常な状況
- 高温下での屋外作業など、作業環境の急激かつ大幅な変化
短期間の過重労働
脳出血発症前の「約1週間」の間、「特に過大な肉体的・精神的負担を生じさせたと客観的に認められる業務」に従事していたとした場合。
長期間の過重労働
脳出血、心筋梗塞などの発症前の「約6ヶ月間」に疲労の蓄積が起こり、これらの疾患を引き起こしたと判断される場合。
以上のことを指しています。
政府の過労死対策
今日、社会問題となっている過労死の対策として、政府は「過労死等防止対策推進法」を制定しています。
この法律に含まれる主な規定は
- 国による過労死等防止対策大綱の策定
- 過労死等の実態に関する調査・研究の推進、過労死等に関する情報の収集・整理・分析・提供。
- 国及び地方公共団体は、過労死等防止のための啓発活動、相談体制の整備、民間団体への支援等を行うこと。
- 厚生労働省は、「過労死等防止対策推進協議会」を設置し、意見を述べる。
これは非常に抽象的な言い方ですが、政府は過労死を防止する決意を持っています。
問題は、企業への罰則規定がない完全なザル法であることです。
この法律の効果は全く期待できないという意見には賛成です。
政府が過労死を防ぐことは期待できないので
自分の身を守るためには、自分で気をつけるしかありません。
つまり、過労死する前に仕事を辞めるべきだということです。
もちろん、そのための準備は必要です。
会社に頼らず、自分の力でお金を稼ぐ方法を身につける必要があります。
今からでも、「会社に頼らない生き方」を目指して活動することをお勧めします。
2割以上の企業が「過労死ライン」を超えて社員を働かせている現実
何時間働けば過労死するのか?
睡眠不足は過労死に影響があるのか?
ここでは、過労死にまつわる時間の問題に焦点を当ててみます。
厚生労働省労働基準局は、「脳血管疾患及び虚血性心疾患の認定基準」(以下、「過労死ライン」)を「過労死の原因となる時間外労働時間」とする通達を出しました。
発症前の月に時間外労働が100時間を超えた場合、または発症前の2ヶ月間または6ヶ月間に1ヶ月あたり80時間を超えた場合、業務と発症との関連性が強いと評価できるとしています。
一方、厚生労働省の報告書「過労死等の実態把握のための社会面調査・研究事業」の統計では月間80時間以上の残業をしている企業が22.7%あることが明らかになりました。
過労死につながる長時間労働への対応として、政府は2014年に「過労死等防止対策推進法」を制定しました。
この法律は、簡単に言えば、政府が過労死防止のための活動を開始するというものです。
ある調査によると、17.6%の企業がこの法律の名前すら知らなかったそうです。
長時間労働や過労死に対する企業の意識の低さがうかがえます。
日本人の睡眠不足の原因は残業にあり
日本人が十分な睡眠をとっていないことは、世界的によく知られています。
アメリカのミシガン大学がスマートフォンのアプリを使って調査を行ったところ、日本とシンガポールは7時間24分と最も短い睡眠時間で同率1位となりました。
これは、最長時間のオランダの8時間12分よりも1時間近く短いものです。
特に、最も睡眠時間が短かったのは、30代、40代の働き盛りの世代でした。
NHKが実施した調査によると、30代の平均睡眠時間は6時間57分、40代の平均睡眠時間は6時間59分と7時間を切っています。
必要な睡眠時間には個人差があります。
非営利団体である米国睡眠財団(NSF)は、成人には7~9時間の睡眠が必要だとしています。
なぜ、日本人は平均して睡眠時間が短いのでしょうか?
上記の統計によると、最も多い理由は「長時間の残業」で31.2%。
また、「家に帰ってからも仕事のメールや電話に対応しなければならないから」が7.9%。
仕事量の多さが睡眠時間を削っていることは明らかです。
この状況を受けて、次のような質問をしました。
このような状況に対し、30.7%の人が「仕事の日は十分な睡眠がとれない」と回答した。
十分な睡眠がとれていないと答えた人は14.0%と半数近くにのぼります。
半数近くの人が「睡眠時間が足りない」と感じていることがわかります。
日本人の睡眠時間の短さについて、ニューズウィーク日本版は次のように述べています。
睡眠不足を示す統計は、日本が革新的なアイデアやひらめきを必要とする高付加価値産業の変化の時代に追いついていないことを警告している。
何かを作るために一生懸命働くのではなく、睡眠や休息によって「ひらめき」を得ることが必要です。
睡眠不足になるまで会社にしがみつくよりも、ネット起業のような付加価値のある仕事に転職したほうが、将来的には良いと思います。
というのが、これからの時代の考え方だと思います。
過労死の兆候にはどのようなものがあるのか
過労死が起こる前には、心身がさまざまな危険信号を発しています。
めまい
過労によるストレスの蓄積やホルモンバランスの乱れ、自律神経の乱れなどによって起こる症状です。
メニエール病の症状は、激しい回転性のめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感の4つです。
また、メニエール病が原因で起こることもあります。
体の各部の痛み
頭痛、胃痛、腹痛、頭痛、関節痛、目の痛みなど、体のあちこちが痛むのも過労の症状です。
また、嘔吐や体のしびれなども過労の症状です。
出血
鼻血、血尿、吐血の原因のひとつは、過労といわれています。
しかし、炎症を起こしていたり、重度の胃潰瘍である可能性もあります。
これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
不眠症
仕事が気になってなかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、早めに目が覚めてしまい、十分な睡眠がとれない場合
過労によるストレスが原因の不眠症が疑われます。
不眠症を放置すると、思考力の低下やさらなる健康障害につながるだけでなく、うつ病になる可能性も高いので、早めの受診が必要です。
抑うつ症状、うつ病の発症
過労によるストレスが原因で、心が悲鳴をあげている状態です。
うつ病の精神症状は
- 気分が落ち込み、希望が持てないなどの抑うつ症状
- 低下や判断力の低下などの思考力の低下
- 何事にも興味が持てず、何もする気が起きないなどの意欲の減退
一刻も早く専門医の診察を受けることが大切です。
これらの兆候は、どのように過労死につながるのでしょうか?
過労死の主な原因は次の通りです。
脳出血、くも膜下出血、急性心不全、虚血性心疾患が死因の8割以上を占めています。
過労のストレスで、体はかなりダメージを受けています。
その結果、過労のストレスで体がかなり傷つき、これらの病気が発症し、死に至るのです。
うつ病の場合、抑うつ症状が進行すると、コントロールできない自殺願望が出てきて、自殺に至ることもあります。
では、過労死を防ぐためには、どのような対策をとればよいのでしょうか。
心身に過労の兆候が見られる場合は、十分な休養をとることです。
忙しくてそうすることができないのであれば、辞職を考えるべきだと思います。
会社以外の副収入が確保できれば、余裕を持って退職することができますし、自分で事業を起こして過労死とは無縁の悠々自適な生活を送ることもできます。