あなたは劣等感が強いほうでしょうか。
劣等感の強い人は、その人の価値観とも言える一種の強迫観念を持っています。劣等感の強い人は、特に競争に対する価値観や執着が強く、その気持ちが原因で苦しくなってしまうのです。
実は、劣等感の裏には「競争」という種があるのです。
私たちは大なり小なり小さい頃から常に比較されてきています。
それはテストであったり、運動能力であったり、レギュラー争いだったり。
他人と競争しなければ、自分と比較するものがないので、劣等感を抱くこともありません。
しかし、現代社会では競争が激しくなり劣等感が増大していますが、その原因が何なのか、どうすればその気持ちを払拭できるのか、わからない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、劣等感の原因や劣等感を持つ人の特徴を見て、具体的にどうすれば解決できるのかをご紹介したいと思います。
目次
劣等感の原因は何か?
劣等感を生む社会構造
現代は変化の激しい時代であり、多くの人がギリギリの生活を送っています。学校を卒業して社会人になると、多くの人が社員として企業で働いています。
実は、そこには競争という名のサバイバルの世界があります。一昔前までは、学校を卒業したら正社員として安定した収入を得て、家族を養うことができました。
給料は年功序列で決まり、年齢が上がれば給料も上がる可能性がありました。悪いことをしなければ、会社から解雇されることもありませんでした。
しかし、経済が悪化するにつれ、この安定した生活が揺らぎ始めました。今は、企業同士が生き残りをかけて競争しています。
そもそも競争とは、勝つか負けるかということです。ですから、どうしても勝つ人と負ける人が出てきます。
もちろん、勝てばいいのですが、負ければ悔しさや劣等感が芽生えます。
昨今、「勝ち組」「負け組」というレッテルを貼られることがありますが、それだけ多くの人が勝ち負けにこだわっているということでしょう。
私たちが生きている社会は、競争社会であることを理解する必要があります。
競争のための教育が原因の一つ
教育の世界でも競争があります。先ほどもお話しましたが、景気が良かった頃は、「大卒」と「高卒」の区別があまりありませんでした。
企業が人を雇う必要があれば、高卒の人も雇うし、大卒の人も今より少なかった。高卒が当たり前で、大卒は珍しい存在だったのです。しかし、現在はどうでしょうか。
高卒でも働くことは可能ですが、昔に比べて求人数は減っています。それは、学歴社会が本格的に始まり、企業が大卒者を欲しがっているからです。
多くの大企業は学歴を判断材料にしており、ランクの高い大学生を欲しがっています。
では、なぜ学歴を重視するようになったのか。それは、競争と関係があります。競争が激しくなるにつれ、企業は率先して行動できる人材を求めるようになりました。
そのためには、高校を卒業したばかりの学生よりも、大学を卒業して専門的な勉強をしている大学生を採ったほうがいいと考えたのです。
大企業に就職したいと思っている学生は、より良い大学に入りたいと思って、小学校から大学まで必死に勉強を始めます。
つまり、社会の変化が教育の現場にも反映されているのです。
私も大学受験を経験しましたが、友人の中には高校1年生から塾に通っている人もいます。
私が通っていた高校は、大学受験にそれほど力を入れていなかったので、基本的なことしか教えてもらえませんでした。
おそらく今の学生の多くは、学校に通いながら塾に通っているのではないでしょうか。それは、このままでは大学受験に合格できないことを知っているからでしょう。
しかし、受験は一種の競争でもあります。
自分の進路を実現するために勉強するのはいいことですが、ただ有名な大学に入りたいというだけでは、大学生になったときに自分のやりたいことが見つからず、迷ってしまいます。
教育段階での競争が劣等感を生むのは事実です。
競争とは、劣等感を生み出すシステムであることを理解しましょう
競争には勝者と敗者がいますが、勝者よりも敗者の方が多いのです。なぜかというと、トーナメントを想像してみてください。
1位、2位、3位と並んだとき、唯一の勝ち組は誰でしょう?
それは、1位の人です。
これは、1位より上の人がいないからです。この場合の敗者は、2位と3位の人です。
競争のことしか考えていない人であれば、1位になれなかったことを悔やむでしょう。しかし、マイペースな人が2位や3位になったとしましょう。
きっと自分の成績に満足して、「よくやった」と思うはずです。競争とは、敗者を増幅させ、劣等感を生み出すシステムなのです。
劣等感の強い人に共通する4つの特徴
自己評価の低さを持っている
劣等感を持つことは、自分に価値がないことの表れです。
劣等感が強ければ強いほど、自己肯定感や自信がなくなり、自分の悪いところや欠点を受け入れることができなくなってしまいます。
そうすると、劣等感が増して、どんどん悩みが大きくなっていきます。
ですから、劣等感を持っている人は、自信をつける必要がありますが、すぐに改善できるものではありません。
「明日から自信を持て」と言っても無理ですよね。
だからこそ、ポジティブに考えるようにしましょう。
自尊心の低さは、いわばマイナス思考の状態です。このネガティブな状態をポジティブに変えることができればいいのですが、なかなか難しいでしょう。
しかし、少しずつでも気持ちが楽になるようなことを考えていけば、やがてプラス思考になっていくはずです。
最初は難しいかもしれませんが、一度試してみてはいかがでしょうか。
「1日1つ、気分のいいことを考える」
これは規律でもあり、習慣でもあります。ポジティブに考えることを習慣化する必要があるので、1日に1つだけでもいいので考えてみてください。
高い理想を持ちすぎている
劣等感を持っている人は、何かに不満を持っているからです。
その不満とは、自分の頭の中にあった理想と、その理想通りにいかなかった現実とのギャップの結果です。理想と現実のギャップが大きければ大きいほど、劣等感も大きくなります。
高い理想を持っていても、現実が理想とかけ離れていれば、その差だけで劣等感を感じてしまいます。
確かに、高い理想や目標を持つことは、生きていく上で大切なことだと思います。
しかし、理想への道があまりにも遠くに設定されていると、現実にはそれを達成するために努力しなければなりません。
ですから、理想が高すぎると、現実とのギャップに苦しめられ、劣等感を抱くことになりますので、目標や理想はできるだけ低く設定したほうがいいと思います。
勝ち負けへの強い執着心がある
劣等感の強い人は、何事にも結果を求めるタイプです。
仕事でも勉強でもプライベートでも本領を発揮しているように見えても、思うような結果が得られないと劣等感に悩まされることがあります。
実は、劣等感の強い人には、共通の特徴があります。それは、物事の勝ち負けに対する執着心が特に強いということです。
例えば、勉強や仕事では「人よりも良い成績、良い評価を得なければならない」と第一に考え、プライベートでは「人よりも充実した生活を送らなければならない」と心の中で考えています。
確かに、勝ち負けにこだわるのは、こだわらないよりはいいかもしれません。
勝ち負けにこだわればこだわるほど、結果を求めて努力するようになり、結果を求めて行動するようになります。
しかし、勝ち負けにこだわることには、デメリットもあることを知っておくべきだと思います。
勝ち負けにこだわりすぎると、将来が見えなくなり、良い結果を出すことに夢中になってしまいます。
そうなると、自分が思い描いた通りの結果が得られないと、自信を失ってしまいます。
他人の良いところしか見ない
劣等感を持っている人は、無意識のうちに自分と他人を比較しています。
そうすると、自分の欠点や弱点と、相手の良いところや長所を比較してしまい、落ち込んでしまうのです。
当然、人にはそれぞれ違いがあります。自分が劣っていればいるほど、相手の良いところが見えてきて、落ち込んでしまうのです。
しかし、人には長所と短所があります。どんなに良い人に見えても、別の角度から見ると、その人の欠点が見えてきます。
それに気づかないと、自然と他人の良いところばかりが目につくようになってしまいます。
そんな比較をしないためには、比較しないように意識するしかありません。
まず、相手の良いところばかり見ていないか確認し、その癖を少しずつ直していくようにしましょう。そうすれば、自然と比較しなくなります。
劣等感が強い人が劣等感をなくす方法は?
劣等感の原因や特徴、その解決方法についてご紹介しました。劣等感の主な原因は、他人と自分を比較してしまうことです。
しかし、少し考えてみると、世の中には自分よりも優れた人が何万人もいますし、自分よりも劣っている人もたくさんいます。ですから、比較すること自体が無意味なのかもしれません。
今の世の中、物事を判断する基準のようなものがあるようですが、物事の見方や解釈にはいろいろな方法があることを知ると、こだわりや劣等感はどんどん弱くなっていきます。
だから、そういうことを理解するために、まずは少し勉強してみると、自分のアイデンティティが見えてくると思います。ぜひ、自分のペースを大切にしてください。
そして次に、劣等感をなくす方法についてお話していきます。
劣等感を持っている人は、毎日のように悩んでいるのではないでしょうか。
「どうして私はあの人よりもうまくできないのだろう?」
劣等感は簡単に消えるものではなく、下手をすると何年も苦しむことになるかもしれません。
今回は、劣等感を克服する3つの方法をご紹介したいと思います。
劣等感が強ければ強いほど、周りの人を責めてしまう
劣等感を感じれば感じるほど、周りの環境のせいにしてしまいます。
これは自分を正当化するための思考法であり、自信のなさの表れでもあります。
「自分は悪くない」「あんなことがなければ今頃良かったのに」と心のどこかで思っているのです。
しかし、自己正当化しても何も変わりません。いくら相手をうらやんでも、いくら過去の出来事にこだわっても、何も変わりません。
そんなことを考えている暇があったら、自分を成長させるようなことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
劣等感を持つことは悩むことと同じです。
劣等感があれば悩み続けることになりますが、悩んでいても劣等感は消えません。それは、自分の弱さや自信のなさをきちんと受け入れていないからです。
自分の弱さを受け入れれば、悩むこともなくなり、劣等感も徐々に消えていきます。自分の弱さを受け入れることで、自分を成長させることができます。
自分の弱さを受け入れた人は、本当にすごい人です。
劣等感を克服する3つの対処法とは?
他人と自分を比較しない
先ほど劣等感の意味について述べましたが、他人と自分を比較してしまうことで、劣等感を感じて落ち込んでしまうのです。
そんな時は、比較しなければいいのです。そんな簡単なことでも、自分と比べてしまうのではないかと思うかもしれません。
では、他人と自分を比べることに何か良いことがあるのでしょうか?
私はそうは思いません。
たとえ誰かが自分より優れていたとしても、それが数年続くでしょうか。
どんなに優れた人でも、当たり前のように挫折や失敗があります。そういう面を見ないと、相手を理解することはできません。
劣等感を持っている人ほど、他人の良いところしか見ない傾向があります。
自分より優れていると思う人が、裏でものすごい努力をして成功を収めたとしても、その人の成功という結果しか見ない。
結果を見てしまうと、「あの人は才能があるから成功したんだ」「私には真似できない」と、あきらめの気持ちになってしまいます。
そもそも、人と比べること自体が無意味なのです。
将来、自分がどうなりたいのかを知る
あなたは自分の人生に目標を持っていますか?
一生に一度しかない人生なら、自分の好きなように生きたいですよね。そのためには、明確な目標を持つことが必要です。
仮に目標を達成できなくても、長い人生の中でいつかは成功するかもしれません。
しかし、人間は目先の欲望に弱いので、ついつい目先のことばかり考えてしまい、目標を見失ってしまいがちです。
そうならないためにも、目標を紙に書いてみましょう。
紙に書くということは、一見面倒な作業のように思えますが、自分のモチベーションを上げるためには効果的です。
目標が達成できなければ、もう一度書き直せばいいのです。
目標を紙に書くことを勧める理由は、やるべきことを忘れないためです。
劣等感を持っている人は、自分のなりたい姿を忘れてしまいます。
劣等感の癖は、「自分がどうなりたいか」を見つけ、その目標に向かって努力することで治ります。
目標がないと人は自堕落になります。
自堕落な自分と相手を比べれば、相手の方が輝いて見えます。
うまくいっている人と自堕落な自分を比べることが習慣になり、いつの間にか劣等感に悩まされることになります。
しかし、人は目指すものがあれば変われる。その目標を達成したいというエネルギーが湧いてくるのです。
その目標に向かって一歩一歩進んでいくうちに、人との比較を忘れ、劣等感に悩むこともなくなります。
まずは、将来達成したいことを紙に書いて実行してみてください。そうすれば、劣等感に打ち勝ち、頑張ろうという気持ちが芽生えてくるはずです。
常識に惑わされないようにする
つまり、世間の常識や基準と自分を比較して、劣等感を抱いてしまうのです。
では、常識や基準というのは誰が決めるのでしょうか?
誰も決めていません。自分が思っているだけなのです。
例えば、昔は男性が働いて家計を支え、女性が家事をするという常識がありました。
しかし、今の時代にそのような人は多いのでしょうか?
今はいろいろな働き方があり、男性でも夫になって家事をしたり、女性も働いたりしていますよね。
常識も時代とともに変化しています。流行りに乗って乗っかる必要はありませんが、一つの意見として受け止めてください。
話は少し逸れますが、常識に惑わされるというのは、自分の妄想に過ぎません。世の中には「ダメ」という言葉はありません。
そう思っているのは、劣等感の強い人です。
一般的な基準では劣っていても、周りの人からバカにされたりしませんか?私はそうは思いません。
だから、周りの人と自分を比べすぎないことです。劣等感が強ければ強いほど、比較してしまいます。
この癖をなくすのは簡単ではありませんが、少しずつでも改善していきましょう。
おわりに
ここまで4つの克服法を書いてきましたが、みなさんが忘れがちなのが「自分らしさ」です。
自分の軸がしっかりしている人は、他人のことを気にせずに黙々と進んでいきます。しかし、他人の評価を気にする人は、そうした軸ができていません。
自分の軸があれば、他人と比較することなく、目標に向かって進んでいくことができます。
劣等感を持っている人は、自分の軸を失っているのかもしれません。その軸を見つける必要があるのですが、そう簡単には見つかりません。
しかし、この記事で紹介した方法を試してみると、徐々に自分の軸ができてきます。
自分の軸が見つかれば、もう大丈夫です。劣等感に悩まされることはありません。
そのことに気づいているのは、あなた自身かもしれません。周りの人が何と言おうと、自分の軸がなければ劣等感に悩まされてしまいます。
そうならないためにも、本気で自分の劣等感と向き合ってみてはいかがでしょうか。